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◎Minami-Alps.Photo.Magazine

ある野生動物の死・・。

ある野生動物の死・・。_f0081726_12371013.jpg昨日、とある方からニホンジカがサル除けのネットにからまっていて死んでいるとの連絡を受け飛び出しました。南アルプス市の北部、御勅使川沿岸ではサル、シカの目撃が特に多い地域です。そして農作物を荒らしその被害は拡大するばかりです。
 現場に行ってみると、首に幾重にも絡んで締め付けられ、さらに左前足にもからんで、必死に逃げようとしたのが災いしてとうとう首に食い込み深く切れ込み、足首は骨が露出していました。壮絶なニホンジカの死。まだ子供のようです。
 様々な農作物への被害防止のための防御策が野生動物とのトラブルを招きます。この前日には、ツキノワグマが民家のスモモ出荷作業場に現れ一時騒然としました。
 驚く事に、この畑の下にあるスモモ畑の入口には大きなツキノワグマのフンがありました。フンの中身はスモモだらけ。フルーツ王国という名で売り出している市の裏側では野生動物とのせめぎあいが続いているのです。現地の人の話では10年位前までは、シカなどほとんど見ることがなかったようです。カモシカが多かったようですが、現在付近でカモシカは全く見かけなくなったようです。シカとカモシカの共生はどうやら同じ環境下では難しいようです。
 農産物の被害は決して野生動物の側に原因があるわけではありません。ツキノワグマが現れた民家では、出荷出来ないスモモなどは山に遺棄しているようです。出荷できない果物を山に捨てることは野生動物を近づけるための「餌付け」をしてしまっているのです。
 こうした人間側の経済最優先や野生動物や生態系に関わる知識の欠如が全てを引き起こしているのだと思います。決して農家の方々だけを責めるわけにはいきませんし、1年間手塩にかけたものが出荷出来ないのは農家にとって死活問題です。これには、地域が一丸となって真剣に取り組まないと野生動物との干渉は消えないと思います。素人考えでお叱りを受けるかもしれませんが、出荷は出来ないけど、路地販売などに耐えうるものは農家から買い取って販売するなど、農家を救う方法について様々なアイデアや発想で、もっと貪欲に考えるべきだと思います。人間は、長い間、野生動物に対して相当油断してしまったのです。
 野生動物はもはや管理する時代に推移してきたような気がしますが、やはり共生や保全を考えるとき、いちばん重要な事は、「人間への教育」だと考えます。野生動物から農作物を守り、生態系を維持する・・・難しい問題です。

 このニホンジカの壮絶な死を目の前につくづく「命」の尊さを考えさせられました。合掌。

<重要>ツキノワグマが民家に現れたとき、原因を追求せず、すぐ銃殺しようとする安易な行動を取る人間は決して許せません。「死」を「利」に変えようしているようでたまりませんでした。

<さらに重要>現在、ツキノワグマはまだ捕獲されていません。
by littlealps4383 | 2006-07-27 22:53 | 博物誌